技能実習制度の対象職種への介護職種の追加については、技能実習制度の趣旨に沿って「人材育成を通じた開発途上地域等への技能等の移転による国際協力の推進を図ることを目的」とするものであり、介護人材の不足への対応を目的とするものではありません。日本は他国と比較して、高齢化が急速に進展し、認知症高齢者の増加等、介護ニーズの高度化、多様化に対応しており、海外からは日本の介護技術を取り入れようとする動きも出てきています。こうしたことを踏まえれば、日本の介護技術を他国に移転することは、国際的にも意義のあるものであり、技能実習制度の趣旨にも適うものであります。
(2016年11月28日 社援発1128第6号「外国人技能実習制度への介護職種の追加等について(通知)」)
介護職種での技能実習生受入れに当たっての要件は、厚生労働省における「外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会 中間まとめ(2015 年2 月4 日)」での提言内容に沿って設定されました。
その基本的な考え方は、介護職種の追加に対する様々な懸念に対応するため、以下の3つの要件に対応できるよう制度設計を行うというものです。
1 介護が「外国人が担う単純な仕事」というイメージにならないようにすること。
2 外国人について、日本人と同様に適切な処遇を確保し、日本人労働者の処遇・労働環境の改善の努力が損なわれないようにすること。
3 介護のサービスの質を担保するとともに、利用者の不安を招かないようにすること。
これら3つの要件に対応するため、技能実習制度本体による対応とともに介護職種に固有の各種要件が整備されており、介護職種の技能実習生を受け入れる場合、技能実習制度本体の要件に加えて、介護職種固有の要件を満たす必要があります。
主な介護固有の要件について
介護の技能実習生の受入れに当たっての要件は、「外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会中間まとめ」での提言内容に沿って設定されています。
技能実習制度への介護職種の追加に当たっての要件設定について
介護の技能実習生の受入れに当たっての要件は、下記の「外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会中間まとめ」(平成27年2月4日)での提言内容に沿って設定。
1.移転対象となる適切な業務内容・範囲の明確化 |
一定のコミュニケーション能力の習得、人間の尊厳や介護実践の考え方、社会のしくみ・こころとからだのしくみ等の理解に裏付けられた以下の業務を、移転対象とする
・必須業務=身体介護(入浴、食事、排泄等の介助等)
・関連業務=身体介護以外の支援(掃除、洗濯、調理等)、間接業務(記録、申し送り等)
・周辺業務=その他(お知らせなどの掲示物の管理等) |
2.必要なコミュニケーション能力の確保 |
・1年目(入国時)は「N3」程度が望ましい水準、「N4」程度が要件。2年目は「N3」程度が要件
・入国後、OJTや研修等により、専門用語や方言等に対応
(参考)「N3」:日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる
「N4」:基本的な日本語を理解することができる(日本語能力試験:独立行政法人国際交流基金、交易財団法人日本国際教育支援協会が実施) |
3.適切な公的評価システムの構築 |
・試験実施機関は、技能実習の新制度で求められる要件を満たす団体を選定
・各年の到達水準は以下のとおり
1年目 指示の下であれば、決められた手順等に従って、基本的な介護を実践できるレベル
2年目 指示の下であれば、利用者の心身の状況に応じた介護を一定程度実践できるレベル
3年目 自ら、介護業務の基盤となる能力や考え方等に基づき、利用者の心身の状況に応じた介護を一定程度実践できるレベル
5年目 自ら、介護業務の基盤となる能力や考え方等に基づき、利用者の心身の状況に応じた介護を実践できるレベル |
4.適切な実習実施機関の対象範囲の設定 |
・「介護」の業務が現に行われている機関を対象とする(介護福祉士国家試験の実務経験対象施設)
ただし、技能実習生の人権擁護、適切な在留管理の観点から、訪問系サービスは対象としない
・経営が一定程度安定している機関(原則として設立後3年を経過している機関)に限定 |
5.適切な実習体制の確保 |
・受入れ人数の上限 小規模な受入機関(常勤職員数30人以下)の場合、常勤職員総数の10%まで
・受入れ人数枠の算定基準 「常勤職員」の範囲を「主たる業務が介護等の業務である者」に限定
・技能実習指導員の要件 介護職として5年以上の経験を有する介護福祉士等
・技能実習計画書 技能移転の対象項目ごとに詳細な作成を求める
・入国時の講習 専門用語や介護の基礎的な事項を学ぶ |
6.日本人との同等処遇の担保 |
「日本人が従事する場合の報酬と同額以上であること」を徹底するため、以下の方策を講じる
・受入時:賃金規程等の確認
・受入後:訪問指導時の関係者のヒアリングや賃金台帳の確認、監理団体への定期報告
※EPAIにおける取組を参考に、監理団体による確認等に従わない実習実施機関は、技能実習の実施を認めないことも検討 |
7.監理団体による監理の徹底 |
・技能実習制度本体の見直しによる、新制度に沿った監理の徹底を図る |
厚生労働省 技能実習「介護」における固有要件について より
技能実習生について
1.日本語能力要件
介護職種で技能実習を行うには、技能実習生の日本語能力が一定水準以上であることが必要となります。そのため、第1号技能実習生と第2号技能実習生の技能実習生本人について、日本語能力に関し、以下の要件を満たす必要があります。
第1号技能実習(1年目)
日本語能力試験のN4に合格している者その他これと同等以上の能力を有すると認められる者*であること。
第2号技能実習(2年目)
日本語能力試験のN3に合格している者その他これと同等以上の能力を有すると認められる者*であること。
*「これと同等以上の能力を有すると認められる者」とは、日本語能力試験との対応関係が明確にされている日本語能力を評価する試験(現在認められているのは「J.TEST実用日本語検定」「日本語NAT-TEST」の2つ)で、上記と同等レベルに相当するものに合格している者をいいます。
2. 同等業務従事経験(いわゆる職歴要件)
団体監理型技能実習の場合、技能実習生は「日本において従事しようとする業務と同種の業務に外国において従事した経験があること(同等業務従事経験)」もしくは「団体監理型技能実習に従事することを必要とする特別な事情があること」を要件として満たすことが必要とされています。介護職種の場合の同等業務従事経験については、たとえば、以下の者が該当するとされています。
・外国における高齢者若しくは障害者の介護施設又は居宅等において、高齢者又は障害者の日常生活上の世話、機能訓練又は療養上の世話等に従事した経験を有する者
・外国における看護課程を修了した者又は看護師資格を有する者
・外国政府による介護士認定等を受けた者
実習実施者について
1. 技能実習指導員について
介護職種での技能実習指導員については、下記の要件を満たすことが必要です。
・ 技能実習指導員のうち1名以上は、介護福祉士の資格を有する者その他これと同等以上の専門的知識及び技術を有すると認められる者(※看護師等)であること。
・ 技能実習生5名につき1名以上の技能実習指導員を選任していること。
技能実習制度本体の要件には、技能実習指導員の配置人数について、技能実習生の人数に応じた基準は、特段ありませんが(各事業所に1名以上選任していることが必要)、介護職種の場合、技能実習生5名につき1名以上の技能実習指導員を配置することが必要です。
2.技能実習を行わせる事業所について
技能実習を行わせる事業所については、下記の要件を満たすことが必要です。
・技能実習を行わせる事業所が、介護等の業務(利用者の居宅においてサービスを提供する業務を除く。)を行うものであること。
・技能実習を行わせる事業所が、開設後3年以上経過していること。
・技能実習を行う事業所における技能実習生の数が一定数を超えないこと。
3.対象施設 厚生労働省 技能実習「介護」における固有要件について より
訪問介護などの訪問系サービスについては、適切な指導体制を取ることが困難であること等の理由で、技能実習の対象になっていません。
その他の介護固有要件の詳細は、厚生労働省または外国人技能実習機構のHPをご確認ください。
移転の対象となる技能等
外国人技能実習制度においては、介護業務を、身体上または精神上の障害があることにより、日常生活を営むのに支障がある人に対し、入浴や排泄、食事などの身体上の介助やこれに関連する業務と定義しています。また、関係省令において、業務は下表のように区分されており、当該業務に従事させる時間も定められています。
区 分 |
内 容 |
実習計画に含まれる割合 |
(1)必須業務 |
技能実習生が技能等を修得等するために必ず行わなければならない業務をいう |
業務に従事させる時間全体の二分の一以上であること |
(2)関連業務 |
必須業務に従事する者により当該必須業務に関連して行われることのある業務であって、修得等をさせようとする技能等の向上に直接又は間接に寄与する業務をいう。 |
業務に従事させる時間全体の二分の一以下であること。 |
(3)周辺業務 |
必須業務に従事する者が当該必須業務に関連して通常携わる業務((2)に掲げるものを除く。)をいう。 |
業務に従事させる時間全体の三分の一以下であること。 |
(4)安全衛生に係る業務 |
|
(1)から(3)までに掲げる業務について、それぞれ、従事させる時間のうち十分の一以上を充てること。 |
介護業務における各区分の業務の内容は次のとおりです。
• 介護職種業務の範囲
目標とするレベル
第1号技能実習修了時(初級)
指示の下であれば、決められた手順等に従って、基本的な介護を実践できるレベル
第2号技能実習修了時(専門級)
自ら、介護業務の基盤となる能力や考え方等に基づき、利用者の心身の状況に応じた介護を一定程度実践できるレベル
第3号技能実習修了時(上級)
自ら、介護業務の基盤となる能力や考え方等に基づき、利用者の心身の状況に応じた介護を実践できるレベル
- 受入希望施設から当組合へご連絡
- 受入希望施設から、監理団体(当組合)に相談。
打ち合わせをかさね、募集する外国人技能実習生の条件などを確定します。
- 外国人技能実習生の募集
- 海外の送り出し機関に対して、当組合が外国人技能実習生の募集を依頼。
- 外国人技能実習生の選考
- 一次選考(書類選考や筆記試験)は、現地の送り出し機関が実施し、
最終選考は現地にて受入希望施設・当組合が面接を実施し、採用決定します。
- 入国前講習(海外)
- 海外の送り出し機関による日本語教育を実施します。
- 日本入国
- 技能実習生が入国します。
- 日本入国入国後講習(日本)
- 当組合による日本語教育を実施。
日本での生活に慣れてもらうことも当講習の重要な目的です。
- 受入希望施設にて実習スタート
- 受入希望施設にて実習が開始します。
当組合にご相談ください。 ご希望を丁寧にヒアリングいたします。 外国人技能実習生の募集から技能実習計画の作成支援、 入国後研修などさまざまなサポートを行います。